Atomic Layer Deposition

ALDリアクターとは?

ALDリアクターは、研究および産業におけるALD(原子層堆積法)の普及を可能にしました。リアクターには様々な形状、サイズ、構造があります。ALDリアクターがどのように動作するのか、またどのような種類があるのかご紹介します。

ALD Reactor

ALDリアクターとは?

ALDリアクターとは、まさにALD(原子層堆積法)を実施するためのツールです。ALDリアクターはプロセスエンジニア(製造技術者)にとって身近なツールであり、高品質のALDを行うためには、機能性の高いALDリアクターを使用することが最も重要です。

根本的にALDリアクターとは、コーティングされる基板へのガスの注入と排気を制御するバルブのことを指します。ALDリアクターには多くの種類がありますが(下記参照)、ALDプロセスを実行するための基本的な要素はどの種類にも共通しています。構成要素は以下の通りです。

  1. プリカーサー(前駆体): ALD反応に関与する化学物質(固体、液体、気体)。
  2. 反応チャンバー: 基板が収容され、ALDプロセスが行われるエリアのこと。反応チャンバーは多くの場合、反応を促進するために加熱される場合が多い。例: サーマルALD(thermal ALD)
  3. 真空ポンプ: システム内の圧力を下げ、副生成物や余剰プリカーサーの排気経路を確保する。反応は通常1~10mTorrで行われるが、大気中でも可能。
  4. バルブ: プリカーサーの流れを制御し、リアクターの部品を分離させるために様々なタイプのバルブ(空気圧バルブ、ソレノイドバルブ、ゲートバルブなど)が使用される
  5. 不活性ガス: チャンバー内にプリサーカと副生成物を除去するための気流同伴を促す。
  6. コンピュータ・インターフェイス: ALDは手動で行うこともできるが、通常は自動化されている。指定されたソフトウエアまたはその他のコードを使用して、バルブの開閉、前駆体パルスの制御、データ収集を自動的に行う。
フローチューブリアクターとその基本的な構成要素の概略図

最も基本的なALDリアクターはフローチューブリアクターと呼ばれ、システム内に常に不活性ガスを流すことで機能しています。バルブが個々のプリカーサーを不活性ガスの流れに投与し、反応物質を基板まで運びます。十分な量に達したら、バルブは物質の投与を遮断し、不活性ガスは反応物質による副生成物を運ぶことで、余剰なプリカーサーを排出します。CVD反応で発生した不必要な副生成物を確実に除去した後、2番目のプリカーサーを同じ方法で投入します。このプロセスは簡単なプログラミングで自動化することができ、完璧なALDコーティングができるまで同じ動作を繰り返します。


ALDリアクターの種類

ALDリアクターは、コーティングされる基板、蒸着される物質、処理能力、原位置特性評価能力や、その他の要因に応じて、あらゆるタイプの構成がある。一般的にリアクターは、ALD反応の種類(プラズマALD/サーマルALD)、およびプリサーカが基板に投与される方法(時間的/空間的)などによって特徴付けることができる。

Thermal ALD – 熱の使用によってのみ動作する

Plasma ALD – プラズマを使用し、表面を活性化する。

Temporal ALD – 基板は固定され、プリサーカは個別に投与される

Spatial ALD – 基板は常にプリサーカが流れている領域を移動する

以下は、さまざまな反応方法やプロセスの組み合わせを利用したBeneqの機器と、最適な使用例をまとめたものです。これらのALDリアクターがどのような用途で実際に使用されているかについては、ALDアプリケーションのページをご覧ください。

反応方法: Thermal
プロセス: Temporal

Beneq P800のようなバッチALDツールは、サーマルALD(Thermal ALD)を期間限定的に使用する生産規模のリアクターの好例です。バッチリアクターでは、一度に大量のサンプルをコーティングできます。バッチ構成は、大型または複雑な形状の部品がある場合や、複数の表面を同時にコーティングしたい場合に最適なオプションです。

反応方法: Plasma
プロセス: Temporal

Beneq Transform® 300には複数のチャンバーがあり、ひとつは枚葉式プラズマチャンバーです。プラズマは、表面を事前洗浄することで堆積への代替経路を作ることもできます。Temporalかつプラズマを使用した機器は、清浄化された高品質な成膜をするのに優れた方法であり、半導体製造に最適です。

反応方法: Thermal
プロセス: Spatial

空間ALDは、半導体以外の産業で強力な用途になりうる高処理能力を持つALD装置です。高温でかつ空間的なこの機器は、高表面積または多孔質基板上のALDに最適です。BeneqのGenesis ALDはロール・ツー・ロールタイプのリアクターで、バッテリー電極のようなウェブベースの基板に高速でコーティングすることができます。

反応方法: Plasma
プロセス: Spatial

プラズマを使った空間ALDは、プリカーサーを通して基板を回転させる回転盤を利用するBeneq C2Rで実現可能です。プラズマかつ空間を使った機器は、シンプルなナノ構造部品や、強固な基板の片面を高速でコーティングしていくのに最適です。低温光学コーティングは、この種の用途には最適です。


Podcast – ALDリアクターの進化

フィンランドの発明家であり科学技術指導者である、トゥオモ・スントラ氏の考えを聞いてみましょう。リアクターとIPから、商業用リアクターの初期を経て、プラズマ・パウダー・空間機器の導入まで、原子層堆積装置の進化を探求し、今日の装置の状況とALDリアクターの個人的な側面についての考えを知ることができます。

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