ALD
ALD(原子層堆積法)
ナノ単位で物質を操れるとしたら?一度に何層もの原子を作り上げることができるとしたら?そんな不可能に思えることでも、ALD(原子層堆積法)なら、実現できます。

ALD(原子層堆積法)とは?
ALD(原子層堆積法)は、世界で最も革新的な産業における次世代デバイスの製造を可能にする薄膜堆積技術です。非常に小さなオングストロームレベルでの精度と適合性を持つ、高品質コーティングの製造に使用されるALDは、ナノテクノロジーの進歩に必要なツールとなっています。
もともと有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ用の蛍光体薄膜を製造するために開発されたALDは、半導体産業におけるチップの小型化に不可欠な技術となりました。ALDは一般的にあまり認知はされていませんが、現代の電子機器が高速で強力なものへと進化するのに多大な影響を与えたと言えるでしょう。
昨今、ALDは主に半導体製造に貢献し続けており、光学・光工学・イメージセンサーからMEMS・グリーンエネルギー・宝飾品に至るまで、数え切れないほどの産業で主流になりつつあります。ALDに関する論文は毎年発表されており、薄膜の新たな用途が次々と発見されています。ALDは、まだまだ無限の可能性を秘めています。
ALD(原子層堆積法)を使うことの利点とは?
高度な性質を持つALDプロセスには、多くの利点があります。例えば以下のようなものがあります:






ALDと他の薄膜成膜プロセスとの比較については、こちらのページをご覧ください。
ALDはどのように機能するのでしょうか?
ALDは、自己制御(self-limiting)式表面反応に基づき、非常に小さなオングストロームレベルで固体の膜を一層ずつ堆積することができます。1回のALDサイクルで1つの “原子層 “を堆積させ、それを繰り返します。得られる膜の厚さはALDサイクルの回数に直接依存するため、膜厚の堆積を高度なレベルで制御することも可能です。

ALD成膜中、プリカーサー(前駆体)分子は基板表面の部位に反応します。表面部位がすべて占有されると、自ら反応を「停止」します。この動作を完了まで繰り返すことで、ほぼ欠陥がないコンフォーマルな薄膜が一層ずつ堆積されていきます。この自己制御(self-limiting)的な側面が、ALDのユニークな特徴となっています。